着氷は、小型機やヘリコプターにとって、航行中や離着陸時ともに大きな障害をもたらします。 一般には、着氷は次のように分けられています。 雨氷:過冷却の雲粒や雨粒が物体表面に拡がった後凍結したもの 樹氷:過冷却の雲粒が物体に衝突して凍結、氷晶化し、物体に付着したもの 爾氷と樹氷の混合型:濡れている物体に、氷品が衝突し凍りついて粗い氷となったもの 着氷性の雨:過冷却した雨粒や霧雨が物体に衝突し凍結してできた、均質で透明な氷雨氷は、 物体表面 にべったりと付着するため除去しにくく、発生しやすい気象条件は気温が 0〜−5℃ と比較的高く、過冷却水滴が大きくかつ多い場合です。 したがって、激しい上昇流を伴うような対流雲の中で起こりやすくなります。 一方、過冷却水滴の少ない層状の雲や霧雨の中では、樹氷となります。 また、着氷性の雨は、温暖前線面や寒冷前線面の上側で 0℃以上の雨だったものが、 前線面下側の寒気を落下中に冷却されて形成されます。 たとえば、前線付近で着氷が起こりやすい領域を模式的に示すと図6-5のようです。 |
航行中の強い着氷は、雨氷単独や混合型が多くなっています。こうした着氷を回避するには、 0〜−10℃の温度帯の分布に注目し、その分布城に積雲や積乱雲など対流性の雲が 形成されているかどうかに 注意する必要があります。 エマグラムを用いて大気が氷に対して過飽和の状態かどうかを判別する方法に −8D法があります(図6-6)。 これは、その高度での気温をT、露点温度をTDとし、 D=T−TD とすると近似的に−8×D>Tの時は氷面に対して過飽和であり着氷が発生しやすいとするもの です。 ※MB = hpa |
冬には、地上で航空機に直接着氷したり雪が積もったりしますが、当然航空機 の揚力に影響を及ぼし軽視できません。 出典 安全で快適なフライトのために−小型機と気象− 平成2年11月 気象庁 |