持倉鉱山精錬所跡 終章 |
このレポートを終わるにあたって、この鉱山跡の地図を掲載しないことをお許し願いたい それは近年、鉱石の採掘を目的とする人々の中に心無い者が現れ、山を荒らすことが多発しているためである この近くの幾つかの鉱山では採掘の為に山肌は崩され、ごみを捨てられ、無残な状態にあるとのことである 改めて繰り返すが我々は歓迎されざる訪問者である 自然の中に入るということは自然に住まう存在のテリトリーを犯す行為である それを踏まえて自然の中に入るのであれば、彼等のルールを遵守しなければならない そのことを改めて喚起するものである | |||||||||||||||||||||||||||
帰り際にふと振りかえる この遺跡は次第に森に飲みこまれ、消え行く運命にあるのだろう しかし、それがこの遺跡には相応しいのかもしれない | |||||||||||||||||||||||||||
土より生まれし者は土へと還り、栄光に沸き立つものは必ず忘れ去られる それが生くとし生けるもの全ての宿命なのだから…… |
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我々今を生きている者もその例外ではない いつかは私達もこの遺跡の様に朽ち、忘れ去られる しかし、そこで生きてきたこと、行なってきたことは必ずや残り、次世代へと引き継がれる それが積み重なること……それが歴史なのだ | |||||||||||||||||||||||||||
この川はかつて水銀で汚染され、幾多の被害者を生み出した だが、今は人々の努力と自然の回復力によってかつての様に豊かな恵みを生み出してくれる 自然は我々の歴史と共に悪しき罪も飲み込み癒してくれる |
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帰りの橋の上から小船が見えた 漁の帰りであろうか? 我々は地球という名を持つ大きな生き物に縋りつく忌まわしき寄生虫に過ぎないのかも知れない…… せめて母体に見放されぬように生きていくべきなのであろう | |||||||||||||||||||||||||||
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