持倉鉱山精錬所跡 第五章 |
精錬所を一周した我々は、入口前の広場で休憩をとることとした 私は煙草の煙を肺に入れ、緊張を解く ……しかし、それだけでは終わっていなかった 私は彼等と共にこの地に来る前に二回下見をしていた 一回目は過去の郷愁の為に そして二回目は綿密な調査として その二回目の調査の際に対岸に気になる物を見つけていた 森に隠れたさらなる巨大な建造物を…… | |
それがこの『大煙突』である まるで巨大な墓標の様にも見える柱状建造物 しかしそれは山頂近くにあり、 その下部にも幾つかの建造物があることを確認していた | |
上流から見た精錬所跡 今、考えてみればおかしなものである 精錬所跡といわれる割には窯の跡を発見できなかった 既に森に没した可能性もあるが それにしてもあれだけ大規模であった鉱山である かなり巨大な窯の跡があってしかるべきであろう 少なくともそのような可能性がある場所さえなかったのだ 自らの注意不足に失笑をせざるを得ない |
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同所上流部より見える『大煙突』 森に隠れているが斜面にへばりつく様に 作られていることが確認できる もう少し森が深かったら気付かなかっただろう | |
『大煙突』下部に残っていた壁 はっきりと人工物である事が確認できる 左岸側はさらに崩壊が進んでいるのであろう 木々は生い茂り、崩れかけている事が確認できる |
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私は二回目調査の際、あえて左岸へは行かなかった それはこの地が安易な心構えで来る者達を 拒み続けた理由でもあった この事についてはおいおい話すつもりだ 匿名氏やシンメイ氏にはその事も話しておいた 自然に入るという事は我々人間の基準から離れ 自然の掟に従うという事である その事を守れぬ者にはこの地に立ち入る資格は無い ……彼等はそれを理解し、リスクを負う事も辞さなかった だから我々はこの川を渡りもう一つの遺跡群へと向かう |
第六章 |