古い話だ……
当時、私は地元のボーイスカウトに入団していた
団の管理するキャンプ場へ毎年の様に行き、仲間達と遊び、語らい、訓練を積み重ねていた
ある時、キャンプ場の近くに廃鉱あると聞き
仲間達とハイキングがてら行ってみようという話になった
徒歩で一時間弱……
そこにそれはあった
……衝撃だった
圧倒的な質量
マーブル模様を描く煉瓦
自然に呑まれながらもかつての栄光を誇っているかの様であった
大人達が写真やスケッチでその美しさを2次元に封じ込め続けていた
その理由は目の前の遺跡をみれば明らかであった
その後、私はリーダーとして後進の育成をしていたが
就職活動を理由に休隊し、現在に至っている
多忙と時間……それがこの場所を記憶の片隅に追いやっていたのだろう
しかし、10数年の後
ふと、あの場所が懐かしく思えてきた
気がつくと私は車の運転席であの場所へ向かっていた
しかし、時の流れは凄まじく、崩壊は進み、道は荒れ、人々は消えていた
だがあの美しさは全く損なわれてはいなかった
そして大学OBの友人2名とこの感動を分かち合うことにした
美しさを自らのものにする為に一心不乱に写し取っていた大人達……
私はその一部となった……
前置きが長くなった
では話を始めよう……